今にも死にそうなメンタルで吹いた、4分間
- MEGURU

- 12月5日
- 読了時間: 4分
前回は、 口から心臓が出そうだった 予選当日の話をしましたね。
本選の課題曲は、 ノブロ作曲「メロディー」。
「フルート名曲31選」という、 フルート吹きなら1冊は持っている あの小品集の中の曲です。
ピアノ伴奏付きの、 オシャレなフランス音楽。
エチュードばかりやっていた私は、 曲を吹くこともほぼないまま ここまで来てしまいました。
全てがうまくいきませんでした。
フランスの作曲家で、 和声が繊細で切ない曲。
でも当時の私には、
この曲の 「切なさ」「哀愁」 「一瞬キラッと和声が変わって、また暗く沈む感じ」 が
全く理解できませんでした😭。
CDを買って聞いてみました。
・・・
なんのインスピレーションも 沸きませんでした汗。
K先生には相変わらず 表現のなさを怒られながら、
楽譜が真っ黒になるまで 言われたことを書き続ける日々。
本選まで1ヶ月。
相変わらず、 ビブラートを気にすれば他が疎かになる。
何回吹いてもしっくりこない。 この曲の良さがわからない…。
ピアノ伴奏の先生は、 コンクールでバリバリ弾いている方でした。
その先生からも 「ここはこういう和音でね」
など教えてもらうのですが
・・・一向にわかりませんでした。
やっぱり、 曲が好きになれない。 いや、 理解ができない😩。
そのまま、 本選当日になってしまいました。
会場に着きました。 やっぱり腹痛に襲われました。
『以下、前回と同様』 と書きたいくらい 同じ様にド緊張し、出番を待ちます。
今回は、 ピアニストの先生と 2人。
フルート1本で心許ない予選に比べたら、 人が1人増えてくれて心強かったです。
でも、 やっぱり手が震えていました。
チューニングをして フルートを構えます。
ピアノの前奏が 私の 「今にも死にそうなメンタル」 とは全く逆の
✨あまりにも美しい音色でした。
そして、 吹き始めました。
頭が真っ白でした。 足も手も口も震えていました。
しかしながら 指だけは完璧に動いていました。
K先生との基礎練習で叩き込まれた テクニックだけは健在でした。
・・・・
「やっとコンクール終わった… 疲れた…」
たった4分程度の曲なのに、
ソロリサイタルでもしたのかい?
というくらいの疲労感でした。
審査後、 またロビーで 結果発表がありました。
白いロール紙が、 スルスルと下されます。
1番上に、 私の名前がありました。
1位で本選通過。
全国大会を決めてしまいました。
信じられませんでした。
周りの人が 「おめでとう」 と言ってくれました。
でも、 実感がありませんでした。
K先生は、 仕事の都合で本選には 来られていませんでした。
その場で電話をしましたが 繋がらなかったので 留守電にメッセージを残しました。
「・・・あ、あの、 コンクール終わりました。 1位でした。 失礼します」
・・・ガチャ。
・・・振り返れば 我ながら、ひどい報告です笑。
普通 「先生、ありがとうございます!」 とか 「嬉しいです!全国大会がんばります!」 とか言うのでしょうが
1位の凄さも 全国大会というワードも
どこか自分ごとじゃない世界のようで 実感がありませんでした。
しばらくして、 K先生から折り返しの電話が来ました。
「え?あの、留守電聞いたんだけど、 ・・・本当?」
先生の方が驚いていました。
先生は、 「3位ぐらいに入ったらいいかな〜」 くらいに思っていたそうです。
名古屋の重鎮の先生たちの お弟子さんたちを差し置いて
若手のK先生の しかも中2の私が 1位を取ったんです。
審査員の先生たちは 「あいつはどこの門下生だ?」 という話をしていたそうです。
曲の良さもわからないまま 1位を取った。
これで、 本当に良かったのか?
1ヶ月後、 全国大会に行くことになりました。
当然、全国大会の課題曲の楽譜すら まだ買っていない状態の私が
東海地区の代表として 名門の紀尾井ホールで 演奏することになったわけです。
ここから
私の音楽に対する向き合い方 世界の広さ 自分の実力の足りなさ
目指したいところが 変わっていきました。 |
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